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自己責任

 「自己責任」という言葉が乱暴に扱われ、まるで妖怪のようにひとり歩きしている。
 「自己責任」。言葉の持つ意味に異論をもつ人もあるようだが、ここではわが業界に絞って考えてみたい。
 そもそも「自己責任」を果たすには、すべての状況が提供されていることが前提となるはずである。
 10年後の設計、20年後の設計…、当面の企業再生においてはなおさらである。
 ところが、今の税制改正はいかがであろうか。まったく議論することなく、突然、改正された「土地建物等の譲渡所得の損益通算の廃止」などはその最たるものである。

 企業の再生にかける我々への期待は大きい。地銀・信金はリレーションシップバンキング(リレバン)と称し、地域企業の再生にいかに貢献したかが半ば強制的に問われている。「土地建物等の損益通算」は企業再生の重要ポイントのひとつである。損益通算を認めないのは、会計理論的にも到底容認できるものではない。
 リレバンに力を注いでいこうという矢先だっただけに愕然とした。次のターゲットは「ゴルフ会員権の譲渡損失」であろうか。そして、その次は…。

 なんの議論もなく、ひたすら税収確保のためにのみ奔走する姿は、国民不在であり、「自己責任」がむなしく聞こえてくる。

(近畿税理士会『近畿税理士界』「みおつくし」)平成16年7月)