「連珠を世界に!」ロマンの旅 42
インターネット公開対局 余話
前回、インターネットを駆使しての棋界初のリアル対局を紹介しましたが、今回の資料を整理しているうちに、もう少し紹介したい記事を二つばかり見つけましたので、余話として紹介しておきたいと思います。
その1
『連珠世界』に「新体制発足 早や3ヵ月」と題して記した記事からー。
【インターネット公開対局 リハーサル】
(1996年)1月14日、河村典彦名人の第33期名人就位式の目玉は、インターネットによる京都ーラトビアを結んでのリアルタイム公開対局。就位式を盛り上げる企画はないものか、と模索していた12月初、家内と散歩中にインターネット対局をしたら…とどちらからともなく言い出し、すぐに「これだ!」と決めつけてしまうのが私ら夫婦らしい。
帰宅するのももどかしく、西園くん(メディア委員長)にこれを伝えると、帰ってきた答えは「ボクも言い出そうかなあ、と思ってたけど、早川さんに言ったらすぐに乗ってきて大変なことになるから、よう言わんかった」。ただちに太田剛君(静岡大学助手、五段)と連絡を取って、可能かどうか確かめられてOKが出たのが10日あと。それから大井耕三君を含めた三君の、睡眠時間を減らしての開発が始まりました。
1月5日、本番と同じスタイルでのリハーサル。リアルタイムの感触が掴めたので、49手から一手ごとに引き分けを提案するのですが、日本のA級棋士と対局できる喜びからでしょうか、レイムス君は中々OKを出してくれません。とうとう97手まで進みました。この間2時間。こんな時にも真剣に打つレイムス君の熱情に舌を巻く思いです。
これを読売新聞の記者が同席して取材。14日の朝刊に大きく報道されたのです(前回掲載ズミ)。
本番は、いよいよ”世界初”への挑戦です。楽しみが膨れた一日でした。
その2
もう一つの記事は、京都連珠会発行の『珠友』誌に、河村名人が記した「インターネット対局その後」
これはそのまま、紹介することにいたします。
前回お約束の「とてつもない企画」に移りましょう。
とてつもない企画が持ち込まれた!
1996年1月11日、この日は朝から澤井敏郎副理事長とともに、朝日新聞社などマスコミ各社、NHK京都など放送局各社へ「インターネット公開対局」の紹介を繰り広げていた。
その時である。
大澤馨和蔵相談役から緊急の連絡が入り、連珠に関する各種資料をそろえて「直ちに朝日新聞社に来るように」とのことであった。
どういう話が待ち受けているかは知らされなかったが、うまい具合に資料は持ち歩いていたし、このころの私は、連珠の普及のためになら、何をおいても最優先していた頃である。何のためらいもなく、すぐさま駆けつけたのは言うまでもありません。
持ち出されたのは、いま大きなプロジェクトとして南港ATCセンターで進められている「ATCエイジレスセンター」の常設展示コーナーに日本連珠社が引き受けないか、というとてつもないデカイ話であった。
推薦候補に挙がった理由は
・老若男女 まさにエイジレスにふさわしいこと
・世界規模の発展がみられ、今後外国人の参加も見込まれること
・すでに一般に「五目並べ」として親しまれており、入り口が広いこと
ありがたい、まさに待ち望んでいたビッグ企画であるがデカすぎる。
少なくとも土曜・日曜日は、誰かが常駐することも条件に入っている。残念なことではあるが、さすがの私もとても維持するのは極めて難しいと考え込まざるを得ない。片道2時間を通うのはとんでもない負担になるであろうし、人材確保の保証はまるでないから~。
この日は即答は避けたが、数日後「とてもお受けする自信はない」とお断りすることにした。
担当部長にその旨伝えると部長は「君の動きをみさせてもらったが、君ならできる。私も応援するから受けなさい」とまで言っていただいた。
ここまで仰っていただいては、連珠普及に全力をかける者として引き下がるわけにはいかなくなった、というのが正直なところ。
ついにGOサインを出すことになり、直ちに準備に取り掛かり、広報活動から入ることになった。
夢の大企画 ただ今進行中!
(2月13日付で日本連珠社理事及び各地のリーダーに発信=『連珠世界』に掲載)
皆さんがこよなく愛されている我が連珠が、今注目されています。
連珠は江戸時代中頃、京都で生まれたとされていますが、260年の時を経て、35ヵ国推定3万人の人に親しまれるようになりました。最近は世界選手権奪回、インターネット公開対局で話題を呼んだ連珠界ですが、今度は大澤馨和蔵相談役の奔走で、大企画が持ち上がりました。
既に一部ご案内していますが、大阪ATCエイジレスセンターで、RENJUを本格的、長期的に採用する企画が進められています。澤井敏郎副理事長、浅野皓平理事、西園典生メディア委員長と共に臨んだ第2回の会合で、大要次の通り決まり、これに添って日本連珠社側から具体案を示すことになりました。
なお、ATCエイジレスセンターは、大阪市、朝日新聞社、アジア太平洋トレードセンターのジョイントプロジェクトであり、これを機に朝日新聞社で本格的に連珠を取り上げることも視野に入っています。私達連珠フアンの悲願である冠(かんむり)大会や対局譜の新聞掲載も、その延長線上にあります。何をおいても連珠フアンの全面的な支援、参加を心からお願いいたします。
早めにスケジュールに書き込んで、大阪にお越しいただく準備をされますよう心からお願いいたします。
ATCエイジレスセンター オープニング企画
4月27日 ATCエイジレスセンターオープニング企画
磯村隆文大阪市長VS河村典彦名人大盤公開対局
4月28日 ATCエイジレスセンター オープン記念連珠大会
100名規模の大会を予定
ATCエイジレスセンター オープニングセレモニー
5月1日前後 オール日本VS世界10ヵ国のチャンピオンによるインターネット公開対局
ATCエイジレスセンター連珠常設コーナー
終日 土・日曜日は連珠社から一人を派遣(常駐)する。
平日は自由対局(インターネットを含む)
オープニングが近づくと朝日新聞に予告記事が頻繁に掲載されるようになっていきました。
うれしいことに「日本連珠社」が堂々を取り上げられている。しかも、記念式典に特別企画として、連珠を取り上げていただけることになり、さらには紙面にオープニング記念連珠大会の予告記事も掲載されているのです。小躍りするような喜びをおさえ得なかった。
詳細についてはあまりにもボリュームがあるため割愛せざるを得ない。 『連珠世界』と『珠友』誌から転載し、末尾に当日の記念大会に参加したメンバーを網羅した番付(成績により作成してある)を掲げておくことにしよう。